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第5回 筆者@moarea88のほぼ週刊同人ゲーレビュー「無限夜行」

 
千夏たんペロペロ 第5回のほぼ週刊同人ゲーム体験版レビューはサークル「ウミユリクラゲ」さんと「くらやみ横丁」さんの、不思議な世界観と印象に残る絵で描かれた物語「無限夜行」をお届けします。旅をテーマに描かれた世界で少年少女が向かえる意外な結末とは…?PC版だけでなく、最近制作発表されたiPhone版もフリーで遊べます。
フリーソフトとして配布されている「無限夜行」 …フリー!? ▲フリーソフトとして配布されている「無限夜行」 …フリー!?
【制作者インタビュー】 A(回答者)の形でおおくりします。 ■無限夜行の制作について Q:無限夜行を作成しようと思ったきっかけを教えてください。 A(めめ):「旅」というものに特別な想いを持っていたので、「旅」を感じる作品を作りたいと思ったのがきっかけです。例えば電車から見える景色の変化。降りた瞬間に感じる空気の違い。知らない食べ物の匂い。五感の色んな所から、人は「いつもと違う世界」を感じ取っていると思うんです。 A(丹酌):前作の「だれかのよどみ」という作品を「くらやみ横丁」のめめさんと一緒に制作したのですが、そのときに、挿絵を描いていただく代わりに、めめさんのWeb小説「無限夜行」をノベルゲーム化します、というお約束をしたんです。それが最初のきっかけでした。もう一つ理由がありまして、というのは、自分の企画・シナリオではない作品の制作に徹したかったんです。既に小説として完成された作品を演出等の異なるノベルゲームとして完成させることで、新しい発見を得たかったんです。本作品を制作したことによって、演出(表現方法全般)やカメラワーク、「間」の取り方(撮り方)、等について深く研究することがきました。 Q:制作期間はどのくらいでしたか。また、制作に際して大切にされたことはありますか。 A(めめ):ゲーム自体の制作は約3ヶ月、元となった小説の構想・執筆期間を含めると1年くらい。制作で大切にしたのは、臨場感を感じられる情景描写です。例えば物語の中に「烏の街」という不思議な市場が出てくるのですが、ここの場合は実際に行った事のあるアジアの街のイメージを思い出しながら、音や匂いなどの細かい描写を考えていきました。 A(丹酌):既に文章は小説という形で完成されておりましたので、一からテキストライティングをする必要がなかったため、制作期間は短かったですね(約3ヵ月)。大切にしたことですが、めめさんの文章を最大限に活かす(生かす)ように編集したことです。特に、独自のノスタルジックな空気の感触を魅力的に醸し出せるよう随所で工夫をしました。 Q:制作の中で、最も克服しなくてはいけない点はどのような点でしたか。また、それをいかに克服しましたか。 A(めめ):小説からノベルゲームにする際に、ただそのまま移植する訳にはいかなかった所ですね。BGMや効果音、背景画像などが入ると、小説とは受ける印象がかなり変わる事がよく分かりました。 A(丹酌):集中して作業できる時間の量を知ることです。制作時間があればどんどん作業を進めていく、というだけですと、作品は大味になってしまうんです。それではただ組み立てた作品にしかなりません。ですので、勢いだけで進めないことが大切だと思います。どうがんばっても、1日10時間が限度です。小まめに休憩を取ることも躊躇しないようにしています。 Q:影響を受けた作品や好きな作品を教えてください(制作に直接関係のない作品でも結構です) A(めめ):実は構想初期、自分なりの「銀河鉄道の夜」を作ろうという考えがありました。なので、特に物語前半は少しオマージュ的要素がありますね。小説は恒川光太郎さんやいしいしんじさんの作品、映画は是枝裕和監督やスタジオジブリ作品あたりは好きすぎて影響を受けている可能性があります(笑) A(丹酌):映画全般ですね。映画を観ながら、このシーンいいな、この演出いいな、このセリフいいな、等とチェックしながら、そしてそれらの作品的意味や「その奥に見え隠れする何か」について考えながら観ちゃいます。意識して影響を受けたといえる作品を挙げるとすれば、押井守監督の作品です。「イノセンス」は100回以上観ています(笑)。
切符を盗まれた子どもたちは、行く場所と帰る場所を忘れてしまう ▲切符を盗まれた子どもたちは、行く場所と帰る場所を忘れてしまう 車窓から見える不思議な世界の情景。幻想的な音楽と鮮やかなビジュアルが旅情を盛り上げる ▲車窓から見える不思議な世界の情景。幻想的な音楽と鮮やかなビジュアルが旅情を盛り上げる 旅は少年達の忘れていた記憶を呼び覚ます。「忘れること」と「思い出すこと」、彼らが選ぶのは果たして? ▲旅は少年達の忘れていた記憶を呼び覚ます。「忘れること」と「思い出すこと」、彼らが選ぶのは果たして?
■無限夜行の内容について Q:ユーザーの皆様に楽しんでもらいたい点はありますか。 A(めめ):子どもの頃に戻って旅をするような気持ちでプレイすると、とても楽しんで頂けるのではないかと思います。主人公の悠太(小学4年生)から見た世界の広さや不安・感動を共に感じてみてください。物語に登場する「異界」の世界観にも力を入れました。迷路のように入り組んだ極彩色の市場、蛍舞う月夜の小川、誰もいない夕暮れの木造路地。そこに生きる人や旅をする人の姿…。きっと物語を終えた頃には、どこか遠くに旅立ちたくなっているかもしれません。 A(丹酌):プレイされた皆様それぞれが、それぞれの形で面白いところ、興味深いところを自由に発見してみてほしいです。たくさん想像をめぐらせながら、無限夜行の旅をどうぞお楽しみください。 Q:お気に入りのシーンはありますか? よろしければ理由も教えてください。 A(めめ):色々ありますが、やっぱりラストシーンですね。映像表現や音楽も含め、映画的で余韻のある良いエンディングになったと思っています。エンドロールの曲もいい雰囲気を出しています!あと、ネタバレになるので詳しくは語れませんが七章の中盤以降の展開です。世界がぐるりと反転し、物語の端々に散りばめたパズルのピースが一気にはまっていく部分です。6章ラスト~7章はちょっとイレギュラーな演出をしていて、きっと章初めは「え、何?」と一瞬混乱するかもしれません。でも読み進めると話が見えてくるような作りになっています。 A(丹酌):5章の、蛍ノ辻の悠太と千夏ちゃんのシーンですね。蛍の舞う空気や夜の小川の匂い、その中の二人の物語を、心奪われる見せ場にするために努力しました。そして4章の烏の市。アジアのどこかにありそうな、人と物と食べ物が雑多に入り混じった市場街。特に裏路地の光景は、「無限夜行」必見の観光名所です! ■次回作、今後のサークル活動について Q:現在制作されている作品がありましたら、教えてください。 A(めめ):現在は新作の漫画作品を制作中です。まだ情報公開していないので詳しくは語れませんが、東京の川沿いの古い街と、その裏側に潜んでいる不思議な街を描いた物語です。「無限夜行」と共通する設定(もしかしたらキャラも?)があるので、ニヤリとする部分もあるかもしれません。ご期待ください。また、「無限夜行」のiPhoneアプリ版も制作中ですよ! A(丹酌):「パンドラ – テルム・ドレサージュの輪の中で -」という作品を製作しております。ロリィタチックな衣装と「絶対に破ってはならないタブー」にその身をゆだね、永遠に繰り返される道楽とプレデター的遊戯を嗜みつづける少女たちが、その閉ざされた屋敷の中で、ついにタブーを破ってしまう…そんなガーリッシュホラーの作品を製作しております。フリルやレースに彩られた女の子とホラーゲームが好きな方に、特に楽しんでいただける作品になると思います。どうぞご期待ください。 Q:制作において最も大事なものはなんだと思いますか。 A(めめ):自分の作品に責任と愛情を持ち、やると決めたら最後まで妥協せずに作り切ること。モチベーションを保つこと。あとは、やっぱり作ってて楽しいという気持ちを忘れないことだと思います。作品にこめた心の温度は、読んでる人にも伝わると思うんです。 A(丹酌):「最も大切なもの」を強く意識することは、「それ以外の大切なもの・こと」を見えなくさせる危険があります。「”最も大切なもの”を生かすためのもの・こと」こそ「最も大切」なのだと考えています。 Q:最近注目されている同人ゲームなどありましたら、教えてください。 A(めめ):iPhoneやMacで出来るノベルゲームに興味があります。Macユーザとしてはもっと普及してほしいところ(笑) A(丹酌):「ラスト・ピュリファイ」、「ユーマを抱きしめて」、そして「ファタモルガーナの館」です。「ユーマを抱きしめて」の画面の動かし方はすごいですね! Q:このレビューをご覧の皆様に一言おねがいします。 A(めめ):お付き合いいただき、どうもありがとうございました!少しでも作品に興味を持っていただければ幸いです。 A(丹酌):「無限夜行」はフリーゲームとして公開しておりますので、どうぞお気軽にプレイされてみてください。きっとあなたの心に残る作品になると思います。
祖父母の田舎へ向かう兄弟の前に、不思議な黒い列車「無限夜行」は突如現れる ▲祖父母の田舎へ向かう兄弟の前に、不思議な黒い列車「無限夜行」は突如現れる 「無限夜行」の内部。古くて薄暗い、少し不気味な寝台車 ▲無限夜行」の内部。古くて薄暗い、少し不気味な寝台車 ホタル舞う夜空の下、記憶を取り戻した千夏は悠太に「大切な事」を伝える。そして物語は急展開へ…
▲ホタル舞う夜空の下、記憶を取り戻した千夏は悠太に「大切な事」を伝える。そして物語は急展開へ…
【体験版レビュー】 約1時間半の作品です。「無限夜行」というタイトルの通り、列車にまつわる物語です。今は少なくなりましたが、夜行列車というものが昔は日本中を走っていたわけです。今の夜行バス的な感覚かもしれません。しかし、イメージはまったく違うのです。無限夜行(列車)ですから、旅情を感じ、どうなるのだろうと興味を持つわけで、無限夜行(バス)ですと、まったく異なる印象を受けるわけです。4列シートで無限の夜を往くとかすごく辛そうなわけです。 えー、それはともかく。二人の兄弟が、田舎を目指す所から物語は始まります。駅のホームで二人が乗った列車は黒い得体の知れない列車でした。その黒い列車「無限夜行」に兄弟は乗ったのです。やがてこの黒い列車は動き出し、兄弟を連れ去るように駅を離れます。そこから始まる不思議な、とらえどころのない物語。トラブルに巻き込まれる兄弟。唐突に現れる少女千夏。物語全体に続いていく、なんともいえない得体の知れなさ、正体不明の乗客たち。どこへ行くかわからない説明できない薄気味悪さを感じつつも、読み手は引き込まれる事になると思います。 筆者は部屋の電気を消し、真夜中にフルスクリーンにしてこの物語を楽しみました。自分自身もこの無限夜行に乗ったかのような一体感を感じることが出来ると思います。試してみてください。この物語に引き込まれ、自分も戻れないかもしれないような錯覚を受けると思います。物語は多くの疑問点を残しながら進んでいきます。皆さんも恐らくそれらの疑問点と結末に気づきながらも、その結末を覗き見てしまう事を恐れながら物語を進めていくことになると思います。 あなたも夜に。今もどこかを走るこの無限夜行に乗ってみませんか。 「無限夜行」は公式サイトよりダウンロード可能です。
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