
19回目の同人ゲームレビューは「
同人ing」です。同人ゲームを作っている人たちが主役というこの作品、ノベルゲームを作っている人なら誰もが共感する出来事が一杯です。これから同人ゲームを作ってみようと思っている人も一度遊んでみて、自分達でも頑張ってみようというきっかけになったらいいなと思う作品です。
C81出展サークルで場所は
ココです。
▲主人公が所属するサークルの三人娘。絵師、作曲家、広報 |
【制作者インタビュー】(今回はyouさんにご回答頂きました)
■制作について
Q:同人ingのきっかけを教えてください。
A:自分の周りに創作する人がたくさんいて、いつか創作を題材にした作品を作りたいと考えていました。それと、同人ゲームを作る同人ゲームはなかなか見当たらなかったので、やってみたいと。
Q:制作期間は?
A:一章の「0のゲーム制作編」は6ヶ月。次章の「夢奏クリエーター編」は7ヶ月ほどでした。
Q:制作の中で大切にされたことは?
A:とにかくシナリオを早く上げること。シナリオが早く上がれば、立絵・1枚絵・BGMの細かな指示など、余裕を持ってお願いできるので。「夢奏クリエーター編」の初稿は1ヶ月で書き上げた気がします。
Q:制作の中で、大変だった事は?それはどうやって乗り越えましたか?
A:サウンドクリエーターさんへの作曲のお願いは、自分の知識不足などあって苦労をかけたと思います。幸い、優秀なサウンドクリエーターさんたちで、とても助けられました。
Q:影響を受けた作品や好きな作品は?(制作に直接関係のない作品もOKです)
A:好きな作品は…小説だと横山秀夫さんの「クライマーズ・ハイ」。文体がとても好きです。影響受けてると思います。あと乙一さんの「calling you」は自分のなかで革新的でした。映画だと「クールランニング」、「ホームアローン」、「フラガール」、「ショーシャンクの空に」。「クールランニング」はいまも普通に見ます。アニメだと「メダロット」、あと「おでんくん」。最近だと「あの花」面白いなーと見てました。
Q:制作メンバーは何つながりの方ですか?
A:絵師の泰輔とは大学の先輩後輩関係です。サウンドクリエーターさんは外注での募集をしたのですが、あるイベントでぼたもちさんの作る曲を聴かせてもらって好きだったので、こちらから作ってほしい!とメールさせていただきました。阪神総一さんは楽曲のフリー素材を配布しているのですが、利用させてもらって、そこからご縁を賜りました。
Q:人物描写が印象的でしたが、モデルとされた方はおられますか?
A:人物というより、作中に出てくる作品のほうにモデルがあるものがあります。ないものもありますけど。同人ゲームをたくさんやっている方にはもしかしてピンとくるものがあるかもしれません。
▲絵師の伊織。一緒にはじめての即売会に参加 |
▲音楽担当の奏。一番年上だけど残念なスタイル |
▲広報の瑠璃子。秋葉原で同人ゲーム制作に必要なアイテムの買い出し |
■内容について
Q:お気に入りのキャラはいますか?理由も教えてください。
A:全キャラ気に入っていますが、好き勝手トラブル起こしてくれる音楽担当の奏はよく動いてくれてライター的には嬉しいです。広報担当の瑠璃子はむしろうちにほしいです(笑)いろいろ雑事を頼みたい!絵師の伊織は隣にいてくれると、きっと楽しい。で、彼女たちに囲まれてゲーム制作する主人公はそろそろ肥溜めに落ちるはず!
Q:一番のみどころは?
A:ひとつの同人ゲームサークルの裏側、創作への情熱が見れるところかなと。
Q:どんな人に薦めたいですか?
A:同人に興味ある人にもそうですが、同人というものを知らない人にも興味を持ってもらえて、ゲーム制作面白そうだと思ってもらいたいです。
Q:バレー部の描写がありますが、メンバーの経験を元に書かれたのですか?
A:バレー部!はい、ライターの自分が中学・高校とバレー部でした。
■今後のサークル活動について
Q:開発中の作品がありましたら、教えてください。
A:同人ingの新章を作っております。
Q:制作において最も大事なものはなんだと思いますか。
A:思い当たる節がたくさんあってコレってのが言えないのですが、無理しすぎないでください。身体壊すと元も子もないので。
Q:注目されている同人ゲームは?
A:いろいろ注目してるので、ここで列挙しちゃうと一気にスクロールが増えます(笑)かといって一つだけ挙げると、どれ挙げようかすごく悩む…。ちょっと質問とズレちゃいますが、スポーツを基軸としたスポコンの同人ゲームがあればめっちゃ注目しますし、個人的にやってみたいです。同人ゲームでスポーツものをあまり見ないので。
Q:このレビューをご覧の皆様に一言おねがいします。
A:ここまで読んでくださった方に感謝を。もしよろしければ、同人ingのほう、楽しんでいただけると幸いです。
▲先輩サークル、東京食堂の二人。ほかにもいろんなサークルが出てきます |
▲制作は大真面目。素人たちが0から同人ゲームを作ります |
▲即売会コミティア。はたして制作した同人ゲームは売れるのか!? |
■体験版レビュー
6~7時間の作品です。シナリオが素晴らしいです。同人ゲームを作った人はすごく共感したりすると思います。これから作ろうとする人や作っている人は是非遊んで欲しい作品です。同人ゲームを作りながら息抜きに遊ぶと、作品への共感も大幅に強まったりすると思います。あー、画面の向こうのサークルさんも苦労してるなあとか。イベント前だから修羅場なんだろうなーとか色々思ったりします。
えー、二次元のサークルさんとゲーム制作の苦労を分かち合うのはさておき。物語は同人ゲーム制作の現状とかがかなり忠実に描かれています。1次創作、非エロスはどうしても頒布数が伸びない事とか。ゲーム制作はともかく、作品の宣伝はどうしたらいいのかとか。多くのサークルさんが抱える問題点が描かれています。そのやや重い目のテーマを熱血なテキストがうまく読み応えのある内容にしているのがいいですね。登場人物達が一つ一つ自分達で解決していく所がとてもいいです。
同人制作は意外と思ってもいないような出来事の連続だと思います。しかもそれは自分達で解決するしかないので、楽しくも大変だったりします。主人公たちのサークルだけでなくほかのサークルも登場したり、レビューサイトが出てきたりして同人ゲーム制作だけでなく、同人ゲーム界隈の事が描かれています。この辺もいいですね。レビューサイトの人も恐らく実在の人がモデルなのかなと思います。毎日同人ゲームレビューを書いている人がいるわけです。
筆者みたいに火曜日の朝に通勤電車の中で今週のレビューどうしよう。なぜインタビューをもっと早く送らなかったんだ。とか、あー。次回のアキバOSさんに載せる作品どうしよう。何も用意してないよー。とか苦悩したりしないんだと思います。
えー、筆者のレビュー制作の内情はともかく。同人ゲーム制作についてかなり真正面から描いていて、努力で乗り越えるという描写が好感ですお約束ですが、制作メンバーが美少女で固められているのもいいですね。こんなメンバーだったらコミケの同人ゲームの島々はもっと華やかなのにと思うのですが、
3次元は残酷です。何が残酷かはここでは記述を控えたいと思います。
色々書いてしまいましたが、同人ゲーム制作というテーマをご自身の経験を元に描いていて、読んでいて楽しかったです。同人ingをきっかけに同人ゲーム制作を目指す人が増えればと思います。同人ゲーム制作で一緒に苦労したり筆者からのインタビューに答えたりして充実した日々を送りましょう。
公式サイトには体験版があります。是非遊んでみてください。
▲東京食堂の同人ゲームのパッケージ「glasses!!」 |
▲主人公たちが作るゲームはどんなものになるのか… |
▲意見と意見のぶつかりあい。作品のクオリティを上げるためにみんな必死 |
筆者@moareaのほぼ週刊同人ゲーム体験レビューが
Visual Art’sさんの「
visualstyle」にも掲載されています。お見逃し無く!
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