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第24回 ほぼ週刊同人ゲームレビュー「柊鰯」

 
柊鰯 今回のレビューは「活動漫画屋」さんの冬コミ作品「柊鰯(ひいらぎいわし)」から。14歳の和服美少女が35歳ダメ同人作家の家に家政婦さんとしてやってきた。もう大変なことになるしかないシチュエーションですが、果たして…?身の回りの生活を丁寧なテキストと美麗なグラフィックで描いた「柊鰯」をどうぞ。
柊鰯
【制作者インタビュー】(今回は夕街雪昇さんにご回答頂きました) ■制作について Q:柊鰯制作のきっかけを教えてください。 A:絵師のなかばやし黎明さんとなにか製作したいと常々思っていたことと、前作制作中に東日本大震災が発生し作品にも影響を与えましたが、仕切り直して取り組もうと思ったためです。 Q:制作期間は? A:四箇月と十日です。 Q:制作の中で大切にされたことは? A:柊さんのいいところを見つけて本当に好きになる事。民俗学の観点から、幸せとはなにかを見つめ直す事。 Q:制作の中で、大変だった事は?また、現在最も困難なことは? A:短期間で大量の素材を描いてもらった絵師さんのご苦労が大きくて申し訳なかったなと。現在困難なのは最初からこうと決めて話を書く事ですね。ざっくりは決めますが、最終的にどうなるかは原作者にも判りません。またそれでいいと思っています。 Q:ということは、4か月以内に背景からイベントCGまでかなりの枚数をお願いしたということですか? A:二十枚です。ご覧頂ければお分かりですように、この枚数でも一枚一枚かなりのクオリティです。多少取材ロケハンなどで写真を参考にしたことはありますが、角度を変えて一から描いて頂けたり、絵師なかばやし黎明さんの並々ならぬモチベーションも半端ないモノがあった故の成果物かと。 Q:影響を受けた作品や好きな作品は?(制作に直接関係のない作品もOKです) A:本作に関して最初は漫画・木造迷宮だと思います。読んで触発されて数年前に書いた妄想テキストが元ネタです。あとは参考テキストにも書いた以下の作品群です。 アサミ・マート「木造迷宮」 広田千悦子「おうちで楽しむ にほんのもてなし」 玉川重機「草子ブックガイド」 笠井スイ「ジゼル・アラン」 麻生みこと「路地恋花」 皇ハマオ「椿色バラッド」 参考楽曲も書きましたが、キリンジ「あたらしい友だち」です。 Q:制作メンバーは何つながりの方ですか? A:夏コミ後におうちに遊びに行きました。たのしかったです。
「柊鰯」のタイトル画面 ▲「柊鰯」のタイトル画面 引きこもりゲーム作家・鰮《いわし》の家に十四歳の家政婦さんがやってきた ▲引きこもりゲーム作家・鰮《いわし》の家に十四歳の家政婦さんがやってきた 夢か幻か。心地よい寝室。朝起こしに来た少女を抱きしめる ▲夢か幻か。心地よい寝室。朝起こしに来た少女を抱きしめる
■内容について Q:どんな人に薦めたいですか? A:老若男女問わないです。 Q:お気に入りの登場人物はいますか? A:本当にみんな好きです。 Q:和室に配置された家具や、懐かしさを感じさせる街並みがいいですね。このあたりはこだわりがあるのかなと思うのですが? A:最近、地元に目を向けるようになりました。古ぼけた大阪の片田舎ですが良いなぁと。和室や調度は元々の和好みによるものですが、週末によく行く大阪日本橋の道具屋筋、家具屋さんの店先などの情景も影響あるやも知れません。 Q:主人公は結構ダメっぽいのですが、モデルはいますか? A:駄目なとこは自分です(´ω⊂ 絵師のなかばやしさんにはイケメン過ぎるよ…とは云ったのですが、元々イケメンな絵を描かれる方なので。まぁデザインが本人と全く違いますしいいかなと(笑) Q:震災の描写を加えた動機などを教えてください。 A:震災を書くという前提と柊さんを書くというのは製作開始当初からどちらも大切な柱でした。最初の設問の通り、自分の中で総括をしておきたい、それが無ければ先に進めないという 想いがあったのが一つ。そして今書くべき事であり、美しい柊さんや世界観のイラストに載せて今伝えるべき事を押しつけがましくなく、誰にでも判る形でお伝えしたいという動機からです。 Q:今回選ばれたテーマについて自由に述べてください。 A:前述に加え、今思いますと、やはり全くの他人と暮らす日々、あるいは一緒に仕事をするということ、他人、社会との「関わり」「繋がり」「絆っていうけど、実際に自分の日常に割り込んできたらどうなのよ」(例えるならば瓦礫受入問題)など示唆に富んだ、考えさせるテーマになっていたなと思います。 前前作「片輪車と雪女」では身内や知り合いに障害者や同性愛者が居ないと中々共感しにくい部分が有ったやも知れませんが、本作では「人ごとじゃないよ」という現実を突きつけているなぁと。書いといてなんですが、思い返すとそういうことになっているなぁと思うのです。
掃除 洗濯 お料理ばっちり。嫁に欲しいぞ柊さん ▲掃除 洗濯 お料理ばっちり。嫁に欲しいぞ柊さん サークルリーダーの桜はデキル女。鰮の尻を叩いて次々と作品を作らせます。ひー ▲サークルリーダーの桜はデキル女。鰮の尻を叩いて次々と作品を作らせます。ひー 桜は生活力のない鰮のために、家事の出来る柊さんを連れてきました ▲桜は生活力のない鰮のために、家事の出来る柊さんを連れてきました
■今後のサークル活動について Q:現在制作中の作品はありますか A:去年は二本作ったので今年は夕街休憩…と思いつつも小説とか書くかも、ぐらいです。 Q:制作において最も大事なものはなんだと思いますか。 A:自分に嘘を吐かない事です。書きたい物を書く。 Q:注目されている同人ゲームは? A:「ファタモルガーナの館」「パンドラ」をはじめ、手元にある「闇を奔る刃の煌き」「猟奇探偵節用偽典怪異譚」「カタワレビト」「さとりとやまぼうし」「修羅鬼」「Blue*」ほかです。が読む時間が取れず(_ _) Q:このレビューをご覧の皆様に一言おねがいします。 A:好きな作品は応援して上げて下さい。一言でも喜びます。
柊さんの働きで自堕落天国だった鰮の生活がどんどん改善されていきます ▲柊さんの働きで自堕落天国だった鰮の生活がどんどん改善されていきます 若い娘さんと三十五歳引きこもりがひとつ屋根の下で暮らすと、色々なことが ▲若い娘さんと三十五歳引きこもりがひとつ屋根の下で暮らすと、色々なことが 柊さんも家事に関しては鬼になるようです ▲柊さんも家事に関しては鬼になるようです
【体験版レビュー】 3時間くらいの作品です。今はもう失われてしまったような、古い町並みや家屋、地域づきあいが残る現代を舞台にした物語です。物語は原画の描き手とシナリオの書き手が互いに力を合わせて、物語を描いていきます。どちらかが勝るということがなく、双方の描きたいものが融和しているのがいいですね。生活を丁寧に描いた物語というのは珍しいかもしれません。生活の中にある大切なものに触れていきましょう。 主人公の鰮さんは同人作家なので、彼の視点を通じて我々は日常生活の楽しさに触れていきます。コミケとかの我々の日常と、我々の傍にありながら、気づいていないもう一つの日常を見ていくことになると思います。一つ屋根の下、柊さんと鰮さんの穏やかで愛すべき物語は続いていきます。お互いがお互いを通じて、日常生活の中でいろいろな発見をしていくのがいいですね。 そして物語は進み、鰮さんは同人作家である自分のことをいろいろ考えつつ、葛藤したりします。一人の男として、柊さんに向き合いたいがために苦悩されるのです。その姿に我々は何を見るのか。人によっては、鰮さんに自分を映しだして考えさせられてしまうかもしれません。 また、登場人物では柊さんがいいですね。表情だけでなく、季節の衣をまとった姿、14歳であることなどいろいろいいです。柊さんがすごいいい子なんですよ。もう、和服姿もいいですし、言葉遣いから性格まで。筆者は彼女のどこかに高屋敷末莉の姿を少し見たのかもしれません。 いや、性格とかも全然ちがって共通点は14歳くらいしかないのですが、彼女の笑顔を真正面から見たときに何かを思い起こさせたのです。そういえば、末莉は今どうしているのだろう。と次元の彼方の古い友人を懐かしんだりしたのです。 えー、それはともかく。インタビューにあるところの柊さんを本当に好きになるというのは間違いなく達成されているのだと思います。物語を最後まで読み終えたとき、心の中に何か暖かなものが残る良い作品だと思います。体験版は以下のサイトからダウンロード可能です。何かに気づくことができる作品だと思いますので、是非遊んでみてください。
なんだかんだ云って可愛らしい柊さん。まだ高校生ですからね ▲なんだかんだ云って可愛らしい柊さん。まだ高校生ですからね よく出来た柊さんですが、振り払えない闇を抱えていて…… ▲よく出来た柊さんですが、振り払えない闇を抱えていて……
筆者@moareaのほぼ週刊同人ゲーム体験レビューがVisual Art’sさんの「visualstyle」にも掲載されています。お見逃し無く!
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